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Regulator Watts / The Aesthetics Of No-Drag (LP)
¥3,200
SOLD OUT
D.Cのポストハードコアバンドが1997年にSlowdime、Dischordからリリースした1stアルバムのBCoreによるリイシュー盤。 1994年にHooverの解散後、メンバーはThe Crownhate RuinやThe Sortsとそれぞれ別のバンドを結成する中でAlex Dunhamが結成したのがRegulator Watts。不協和音とグルーヴィさが入り混じるインテリジェンスが爆発したポストハードコア。アルバム序盤はShellacを彷彿とさせる"Mercurochrome"などヘヴィかつグルーヴィなベースを軸としたポストハードコアサウンドを展開しつつ、アルバムが進む毎に徐々にポストロック的展開を増やしていきます。この辺りにもHoover一派のD.C〜シカゴ音響派の流れが出ているのかなと思います。アルバム中盤から後半に差し掛かった時に現れる"Eleven"は気怠げなエモーショナルが詰まった大名曲であり、不穏なギターと悲痛ささへ感じる枯れたボーカルが降り積もっていき、最後の寂寥感の解放といえるクライマックスはエモとして捉えてもたまらないものがあります。Alexは2000年代に入るとAbileneというポストロック・ポストハードコアバンドをやっているのですが、後半の音の隙間がある部分なんかはそこにも繋がっていく予感も漂わせています。
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The Crownhate Ruin / Until The Eagle Grins (LP)
¥3,200
SOLD OUT
Hoover解散後にJoe McRedmondとFred Erskineを中心として結成・活動したポストハードコアバンドがDISCHORDからリリースした唯一のアルバムをBCoreがリイシュー。Hooverが1994年USツアーの後に解散し、The Crownhate Ruinを結成。解散2ヶ月後には初ライブを行い、ツアーとレコーディングを開始、3枚の7インチとKARATEとのスプリットを発表。1996年に本アルバムをリリースし、その年の終わりに解散というポストハードコアバンドとして美しすぎる活動形態。 Hooverの不穏なグルーヴを引き継ぎつつよりダークでな世界観が際立つ音楽性へ。終始何かが起こりそうなビリビリの緊張感にやや退廃的な印象を感じさせる気怠いエモーショナルさが出ており、LINCOLNやIndian Summer辺りのポストハードコア+初期エモのバンドと同じ雰囲気が出ているのかなと思います。In On The Kill Takerの時のFugaziに戻ったような曲やHot Snakes彷彿のサンディエゴポストハードコア感のある曲などにハッとさせられつつ、これがJune of 44までつながっていくというのはやはりめちゃくちゃ面白いです。Hooverを基点とするDISCHORD〜シカゴ音響派のファミリーツリーの中では図らずもエモに接近したサウンドとなっております。
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Aina / Bipartite (LP)
¥2,900
スペイン・バルセロナのポストハードコアバンドが2001年にJ.Robbinsプロデュースの下Inner Ear studiosで録音された3rdアルバム。2021年にBCoreがリプレス。JAWBOXの燃えるようなポストハードコア節とBluetipのようなカラッとしたドライビングギターに磨きをかけながらもメロディック的側面はややなりを潜め、オルタナティブロックやグランジに接近した、枯れているものにしか宿らないきらめきと力強さが全編にあるサウンド。一貫してAinaはギターのリフのセンスがDischordのバンドと比較しても飛び抜けて良いと思っているのですが、今作はよりリフにフォーカスを当てて曲が作られているように感じます。キャッチーでどこか土くさくもあるブルージーさが滲み出ていて、何よりギターの鳴りがいつ聴いても素晴らしいです。ボーカルのArturが後に結成するNueva Vulcansに繋がる布石のようにボーカルのメロディも柔らかくなっていてどこかSuperchunkなどのインディーギターロックからPixiesのオルタナティブロックを彷彿とするサウンドへ、これまでの音楽性を含みつつ見事に進化していったAinaとしての集大成的作品ではないでしょうか。
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The Sorts / Six Plus (LP)
¥3,000
SOLD OUT
1994年結成のD.Cのポストロックバンドが2002年にLuckyhorse Industriesよりリリースした4thアルバムをBCoreがリイシュー。滑らかなでサイケデリックな浮遊感にロマンチックを感じながらも、微かな不穏さが見え隠れする一筋縄ではいかないポストロック。ファンクやジャズ、フュージョンからダブまで多彩な音楽的影響が伺えるサウンドとなっています。リラックスしているようで張り詰めていて実験的、ハードコア畑とは違った音楽をミュージシャンシップを持って作り上げた、D.Cハードコア通過後の音楽をFugaziとは別ベクトルの形で提示したバンドの一つだと思います。Rain Like the Sound of Trainsやsevensのoshua LaRue、HooverのChristopher Farrall、The Crownhate RuinやAbilene、June of 44のFred Erskineというメンバーによって構成されていて、それらのバンドと同じくD.Cのハードコア・ポストハードコアの文脈からシカゴ音響派へと繋がるバンドです。サウンドとしてもLungfishとTortoiseあたりがドンピシャでフラッシュバックします。ハードコアやポストハードコアからは一聴すると離れた音楽性ですが、そこを通っていないと決して出せないなんとも言えない空気がしっかりと内包されています。奥深いアンサンブルが何層にも重なった、イマジネーション溢れる作品となっています。
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Nueva Vulcano / Principal Primera (LP)
¥3,100
Aina解散後にボーカル・ソングライターであったArtur Estradaが結成したオルタナティヴロック、ポストハードコアバンドが2004年にBCoreよりリリースした1stアルバム。2022年リイシュー盤です。シンプル故の味わい深さが沁み込んだ乾いた哀愁。カラッとしたディストーションギターと骨太に響くベース、爽快感を感じる抜けの良いドラムにArturの渋みのある声から作り出されるアンサンブルはAinaの時のレボリューションサマーの雰囲気は薄れ 、SebadohやSeamなどのハードコアやパンクを再構築していったU.Sの90'sオルタナティブロックに接近したものになっていると思います。ボーカルのメロディはサラッとしつつ、ここぞの時はギターのメロディでブーストさせてドラマチックに持っていくところなどはやはりその辺りが下地になっているのかなと。90'sのDeepElm周りのエモバンドが2000年代に入り、徐々にギターロック、インディーロックの要素が強くなっていったのと同じようにロックにその音楽性を回収されていきつつもそこにパンク・ハードコア・エモから燃え残った何かが確実にあり、そこを通らなかったバンドと明らかに一線を画す魅力を持っています。
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