amber inn / all roads lead home (LP)

サクラメントのエモ・ポストハードコアバンドがebullitionより1997年にリリースした1stアルバム。1990年初頭に活動したエモーティヴハードコアSinkerからindian summerとamber innへと別れた彼ら。緊張感と不穏さがビリビリと伝わってくるサウンド。前作の7“のピュアなスクリーモからグルーヴと爆発力を併せ持つスタイルにシフトした今作はHooverなどのディスコーダントなバンドからDrive Like Jehuなどのサンディエゴの荒々しいロッキンなバンドまで思い浮かぶ。1曲目、2曲目のグルーヴィなポストハードコアソングから3曲目“A Thousand Spotlights“、4曲目“Sandpaper My Eyes“と続き、血管がブチ切れるんじゃないかと思わせられるエモーショナルハードコアを叩きつけています。

Yaphet Kotto / We Bury Our Dead Alive (LP)

カリフォルニア・サンタクルーズの激情ハードコア/エモバンドが2004年にebullitionよりリリースした3rdアルバム。前作までのカオティックさや衝動的なサウンド表現からゆっくりと続く不穏さと寂寥感を爆発させるようなスタイルへと変化させたことにより、過去作随一のエモーショナルさを獲得している作品。 静と動の絶妙なバランスはcity of caterpillar、on the might of princesなど彷彿とさせられます。静かにジリジリと感情を積み重ねていき、歌とも叫びとも言えないボーカルが入りクライマックスを迎える。ハードコアの暴力性とエモのセンチメンタリズムを見事に昇華させています。

STRUGGLE / st (LP)

サンディエゴのハードコアバンドが1994年にebullitionからリリースしたラストアルバム。若さと怒りが放出されるメタリックなハードコアであり、多彩なリフやリズムチェンジ、トライバルなドラムを推し出した実験的な曲など全体を通して素晴らしいアイデアに溢れた内容。前作からファストパートが減り、メタリックな要素が増えたことでよりヘヴィーかつグルーヴィな部分が強調されています。プロトタイプのニュースクールとも言えるのかなと思わせられ、解散後にメンバーが始めるUNBROKENの音楽的ルーツはこの作品にも多分にあるんではないでしょうか。UNBROKEN以外にもメンバー各々がThe Locust、Swing Kids、Three Mile Pilotと錚々たるバンドをやっていった部分としてもこのバンドと今作の果たした役割はとても大きかったと思います。

Downcast / st (7")

1990年にリリースされたebullitionの第一弾リリース作品。西海岸のダークさを体現したようなヘヴィネスと凶暴さが出たハードコア。激情要素やエモ要素はほとんど見られず、ザクザク刻むギターはニュースクールにも近いサウンドで同じ西海岸のUNBROKENにも近いものを感じます。女性の権利、アニマルライツなどについて歌っており、ebullitionのハードコアを単なるエクストリームミュージックとして消費しないMore Than Musicな姿勢が示されていると思います。

STRUGGLE / st (7")

サンディエゴのハードコアバンドが1992年にebullitionからリリースしたEP。ヘヴィーなリフとレイジングなファストパート、若さと怒りが全面に出たボーカルが乗る彼らの楽曲はひたすらにエネルギッシュで今尚シンプルにかっこ良いと思わせられる。 後にメンバーはThe Locust、Swing Kids、Three Mile Pilot、UNBROKENと錚々たるバンドをやっていった部分としてもこのバンドの果たした役割はとても大きかったと思います。

Manrae / Pacata Hibernia (7“）

イギリスのエモバンドが1995年にebullitionからリリースしたEP。 内包された焦燥感や陰鬱さは同時期のebullitionのバンドとは違う異質さを感じるサウンド。ジャンル分けは不毛なものかも知れませんが彼らのメランコリックなスタイルと不完全さは明確にエモなんじゃないかなと思います。イギリスに脈絡なく出てきたのもめちゃくちゃ面白いです。なんとなくですがPlungerや2000年中盤に活動していたBurned Out Brightにも近いものを感じます。

Econochrist / Skewed (7")

サンフランシスコのハードコアバンドが1993年にebullitionからリリースされたEP。 怒りと緊張感を抱えて激しく疾走するレイジングハードコア。不意に打ち込まれてくる、抒情性を感じるメタリックなフレーズは後続の激情ハードコアへの影響も感じさせます。後期の作品より激情要素が強くなる一歩手前のピュアなハードコアをやっていてカッコ良いです。